この存在を知る
ランダとは?
ランダは、バリ島の仮面・舞踊や宗教的な物語に現れる女性の存在です。大きな眼、牙、長い舌を持つ仮面で表され、バロンと対面します。悪の側として語られる場面がある一方、地域の記録では神聖な仮面として共同体を守る役割もあり、一つの性格だけにはまとめられません。
- 対象地域
- インドネシア・バリ島
- 姿の参照
- Horniman所蔵の仮面26.7.50/2
- 仮面の要素
- 大きな眼、牙、革の長い舌
- 神との関係
- 資料中のDurga(ドゥルガー)との結び付き
- 物語の相手
- バロン。資料ごとの展開を確認する
長い舌は、仮面に付けられた革でもある
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Hornimanの仮面は、Sri Walu Nateng Dirahとしてのランダと記録されています。館は大きく突き出た眼、上に曲がる牙、金色と黒で装飾した革の長い舌を説明し、材料に木・革・動物性繊維を挙げます。
舌を含む形状は、仮面の造作としても読めます。現実の人体の舌が長く伸びた写真として受け取るのではなく、素材を使って姿を作る表現に注目すると、造形の見方が変わります。館は毛の一部を馬の毛と推定していますが、図版で繊維の種類までは確定していません。
物語の役と、神との結び付きを分ける
SpurlockのCalonarangの解説は、ランダを悪やその恐れの象徴としつつ、仮面をDurgaの力を受けるものと説明します。舞台での敵対的な役と、宗教的に力を扱う仮面は、同じ説明の中に併存しています。
Durgaは日本語ではドゥルガーと表記される神です。この記事は資料にあるバリの関係を対象にし、南アジアのドゥルガーの全図像・物語とランダを置き換えません。悪の役だから尊重されない、という推測で仮面の扱いを説明することもできません。
対面の後に、正体を知る物語もある
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ジュンパイ村公式の記事の後半では、Durgaがランダの姿で戦いに勝ち、その後バロンと話して互いの正体を知ります。この記事の冒頭と後半は神々の対応も違うため、後半の筋として紹介し、唯一の正典にしません。
登場者の名前が同じでも、演目や地域、参照する段落が違えば、何を示す場面かを確認し直す必要があります。勝敗を一行に切り縮めると、後に続く対話や神々の顕現を落としてしまいます。バロンの記事では関連資料の違いを表にしています。
ランダも共同体を守る、インタランの記録
インタランのGriya Gede Delod Pasarの記録は、バロンとランダを、支える共同体を負の力から守る存在として説明します。その場所のmapajarは精神的な言葉を受けることを核心とし、単に舞踊を行う意味とは区別されています。
恐ろしい造形と、共同体にとっての守護的な役割は両立し得ます。物語の対決と、仮面が置かれる地域の信仰を読み分けることで、外見から「常に害をなす存在」と決める読み方を避けられます。
形・演目・地域を、別々の問いにする
画像の眼や牙を確認する時は仮面の記録、神との関係や対面を読む時は演目の説明、共同体での役割を知る時は地域記録へ戻ります。この三つを区別すると、矛盾に見える記述も、対象とする場面の違いとして検討できます。
表は横にスクロールできます。
| 問い | 今回の入口 | そのまま広げないこと |
|---|---|---|
| 何で姿を作るのか | Hornimanの仮面と素材 | 全仮面で同じ形・素材とは限らない |
| 対面で何が起こるのか | ジュンパイ村の後半の筋 | すべての演目の勝敗を決めない |
| 地域でどんな役割を持つか | インタランのmapajar | 他村の意味や作法を代弁しない |
伝承と想像の境界
資料で分かること、
分からないこと。
- 博物館の公開解説と地域の掲載記録を確認した範囲です。Calonarang全本文、lontar(ヤシの葉に記した文書)写本、現地の儀礼と関係者への確認は未実施です。
- 歴史上の人物との同一視、全時代・全地域に共通する起源や、すべての演目の勝敗は確定しません。
- 宗教的な力は信仰の文脈として紹介します。図版は実際の神聖な仮面や特定の儀礼を復元するものではありません。
図版の制作について
この画像の見方
眼・牙・革の舌を、演者の仮面と衣装として読める形で示す
公開された仮面記述を参考にしたランダ型の仮面と衣装の再構成。飾り・衣服・姿勢・背景は想像で、特定所蔵品の複製や儀礼の撮影記録ではありません。
制作上の想像:髪の配置・繊維の種類・装飾の組合せ・衣服の配色と形・姿勢・背景。神の実在の姿や正しい儀礼衣装の復元ではない。
制作・利用:本サイト用に組み込みimagegenで制作した独自の再構成。館の所蔵品写真や現地の儀礼写真を複製しない。
画像を大きく見る ↗恐ろしい姿を、木や革によって作られた表現として見る
公開された仮面記述を参考に、木・牙の造形・革の舌を見せる独自の再構成。細かな色・装飾・配置は想像。Hornimanの所蔵品や神聖な仮面を複製したものではありません。
制作上の想像:仮面の独自の形、配色と装飾、舌の模様、髪の配置と繊維の種類、台と光。所蔵品そのものの復元ではない。
制作・利用:本サイト用に組み込みimagegenで制作した独自の再構成。所蔵品写真や現地の儀礼写真を複製しない。
画像を大きく見る ↗勝敗だけで終えず、対話と正体を知る展開へ目を向ける
ジュンパイ村の記事後半にある、対面後の対話へ目を向ける再構成。衣装・姿勢・距離・場所は想像。実際の上演や儀礼の記録、振付の復元ではありません。
制作上の想像:衣装と仮面の組合せ、演者の姿勢、対面の配置、庭と光。神々の変身や、どの演目でも同じ結末という表現を加えない。
制作・利用:本サイト用に組み込みimagegenで制作した独自の再構成。所蔵品写真や現地の儀礼写真を複製しない。
画像を大きく見る ↗物語を確かめる
参考資料・出典
参照した版・翻訳・箇所を示します。本文は以下の資料を手がかりにした独自の日本語解説です。
- 01
Horniman:ランダの仮面
Horniman Museum and Gardens, mask (dance & live theatre) ↗所蔵品26.7.50/2、バリ。館はSri Walu Nateng Dirahとしてのランダと記す。公開ページに制作年の記載は見当たらず、管理番号から年を推定しない。
- 参照箇所
- 作品の形状記述とMATERIAL/TECHNIQUE。大きな眼、牙、革の長い舌、木・革・動物性繊維。馬の毛は館の推定。
- 確認日
- 2026-10-05
- 02
Spurlock:バロンの衣装と仮面
Spurlock Museum, Barong Dance Costume: Mask ↗所蔵品2002.17.0001C。作者Cokorde Putra、バリ島Singapadu、20世紀。作品年代と伝承の起源を分ける。英語の館解説を確認し、掲出参考文献そのものは未読。
- 参照箇所
- Basic InformationとResearch Remarks。二人の演者、動物型の違い、Calonarangでの役割、ランダの仮面とDurga。
- 確認日
- 2026-10-05
- 03
ジュンパイ村:Telekの物語
Desa Jumpai, Tari Telek Jumpai ↗ジュンパイ村公式のインドネシア語記事、2019-08-24。CERITA SINGKATとCerita Tari Telekに神々の対応差がある。記事が参照するlontarの写本は直接未確認。
- 参照箇所
- CERITA SINGKAT、Cerita Tari Telek、Fungsi Tari Telek。バロン・ランダの対面、神々の顕現の対応差、ランダの勝利という記述。
- 確認日
- 2026-10-05
- 04
バリ州:インタランのMapajar
Ceraken Kebudayaan Bali, Mapajar Griya Gede Delod Pasar Desa Intaran ↗バリ州文化データベースのインドネシア語記録、2025-04-29。地域はDenpasar SelatanのIntaran。この場所の意味を他村のmapajarへ一律に広げない。
- 参照箇所
- 冒頭の地域差・barongとrangdaの守護的役割、nedunang baos、末尾Upaya Pelestarian Karya Budayaの共同体による維持。
- 確認日
- 2026-10-05
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